『エンジニアド ガーメンツ』<br>鈴木大器氏インタビュー

『エンジニアド ガーメンツ』
鈴木大器氏インタビュー

日本人のデザインする「アメリカン・ウェア」で知られる『エンジニアド ガーメンツ』のデザイナー鈴木大器氏が、今年の秋冬、スペシャル・コレクションに参加。10代の頃から憧れたというバブアーのデザインにどうアプローチしたのか、ニューヨークのオフィスで伺いました。

バブアーとのつきあいは20年以上

今年の秋冬、バブアーのゲスト・デザイナーとして5型を提供してくれたネペンテスの鈴木大器氏。アメリカのイメージが強いけれど、20年以上、バブアーのジャケットを愛用しているといいます。
「洋服にはまったきっかけになった70年代の『POPEYE』などで、バブアーは常にベーシックだった。アメリカ、フランス、イタリア、イギリスと、舶来品はすべて好きだったから馴染みはありました。ただ当時は僕には高くて買えなかった。一番最初に買ったのは、1989年。インターナショナルの黒でした」

買ったものは、自分の生活に合わせてアレンジするという鈴木氏は、雨には濡れて滲みてもいいという考えのもと、油を抜こうと洗濯機にかけたという失敗談も。
「古着のバブアーの油が自然に抜けた感じが好きで、それに近づけたくて……けれど洗濯したら縮んでしまったんです。今では笑い話ですが」
今は、ヨーロッパ出張、特にイギリスの出張に持っていくことが多いといいます。
「イギリスの気候に合うということもあるし、アウターを一枚だけ、というときに持っていくのはバブアーのジャケットです」

愛用しているのは、ダークグリーンのビューフォートとネイビーのビデイル、鈴木氏が考える「一番、バブアーらしい典型的なモデル」。今回の秋冬のデザインのたたき台としても参考に。

鈴木大器氏流、コラボレーションへのアプローチ

ニューヨークを拠点にエンジニアド ガーメンツのデザインをしている鈴木氏。他のブランドのコラボレーションに参加するときのアプローチはいつも一緒だと話します。
「自分らしさをデザインに入れるよりも、オリジナルのものが好きなので、その良さを残したデザインを心がけています。エンジニアド ガーメンツのデザインが感じられないくらいのほうがいい。自分がバブアーの社員で、企画内でデザインしたらこうなりました、というような『バブアーらしさ』があったほうがいいと思うんです」

鈴木氏の考える「バブアーらしさ」は、カッコつけずに普通に存在している、というところ。
「ファッションとして作られたものではない、必要性から作られたブランド。軍服だった時代があって、ハンティングウェアだったり、フィッシングジャケットでもあった。雨具としても使われてきた、そういう歴史を生かしたいと思いました。見た瞬間にバブアーだとわかる、それでいてエンジニアド ガーメンツらしさがにじみ出るような…気が付かないくらいがちょうどいいと思いました」

本物がわかる人間に好まれる
アウターウェアの最高峰への挑戦

自分が10代の頃、憧れたブランドとコラボレーションをすることは、嬉しくもあったけれど、難しさもあったと。
「僕が10代の頃、すでに有名なブランドだった。アウターウェアとして完成されているものなので、自分がデザインしたらどうやっても元の型より悪いものになってしまうような気がして難しかった」
自分が特に好きだったバブアーの歴史的なデザインに、たとえばかぶりのオーバーパーカのようなエンジニアド ガーメンツのシグニチャー・ポイントを融合するなどの工夫をしたといいます。

バブアーを好む人は「トラッドで、オーセンティックな洋服を極めている人。本物の良さがわかる人たちが好むというイメージ」と語る鈴木氏。
「男性だけでなく女性が着ても、とても素敵に見えると思うんです。女性にもぜひ着てもらいたいですね」

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鈴木 大器 DAIKI SUZUKI

NEPENTHES AMERICA INC.代表『ENGINEERED GARMENTS』デザイナー。
1962年生まれ。89年渡米、ボストン-NY-サンフランシスコを経て、97年より再びNYにオフィスを構える。 09年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。日本人初のCFDA正式メンバーとしてエントリーされている。

Photo: Naoko Maeda
Text: Yumiko Sakuma