アニキでお馴染みの片野さんが語るバブアーの<br>
魅力とソルウェイジッパー SLの着こなし方

アニキでお馴染みの片野さんが語るバブアーの
魅力とソルウェイジッパー SLの着こなし方

定番服や古着、昭和酒場を紹介するコンテンツで人気の片野英児さん。大のバブアー好きであることからバブアニとも呼ばれ、しばらく廃番となっていたソルウェイジッパーの古着を紹介したことで、本モデルの人気が再燃。そこで、往年の名作をモダンにアップデートさせたソルウェイジッパー SLを、片野さんに着こなしていただきました。

あらためてアニキのファッション遍歴を振り返る

――ファッションに目覚めたのはいつ頃、どのようなきっかけでしたか?

「小学生の頃に雑誌メンズクラブに出会い、アイビーに憧れるようになりました。とは言え、VANやブルックス ブラザーズには手が出ませんでした。ようやく中学生になって、バスのローファーをアメ横で手に入れたことが嬉しくて、よく覚えています。高校生になって色気付いてきた頃はDCブランドの全盛期。今となっては信じられないでしょうが、グラスメンズとかアストンボラージュとか、肩パッドの入った黒いリネンのスーツを着ていましたね(笑)。ドメスティックのストリートブランドを着ている、今の若い人たちと同じ感覚なんじゃないかな」

――古着好きとして知られるアニキが、DCブランドにどっぷりというのは意外でした。それでは、20代と30代の頃はどうだったのでしょう?

「高校3年生のとき、アメカジ好きの友人からリーバイスの501を奨められて、アメ横で生まれて初めてジーンズを買いました。それから徐々に、ウールリッチのシャツやラコステのポロシャツなどの定番が増えていったのです。大学生の頃に創刊された雑誌Beginも参考にしていましたね。社会人になってスーツを着るようになると、ビームスFで買い物をするようになり、フィッシュマウスラペルのスーツにアルバート・サーストンのサスペンダーをして、気分はすっかりイギリス人。90年代の終わり頃はユナイテッドアローズに通うようになり、クラシコイタリアの洗礼を受けました。完全に自分はイタリア人だと思うほど(笑)。その間に、フレンチ気取りの時期もありましたが、自分は何にでもすぐかぶれてしまう性格なんです」

さまざまなトレンドを経て辿り着いた定番の魅力

――それでは、古着に目が行くようになったのはどのような経緯だったのでしょうか?

「先ほど話したイタリアかぶれ時代が、けっこう長く続きましたね。そのときの仕事でジョルジオ アルマーニの店舗設計に関わっていて、初めてミラノに訪れる機会を得たのです。そこで、ジョンスメドレーのニットやバブアーのワックスドジャケットを着たおじいさんたちの着こなしに衝撃を受けました。イギリスかぶれのイタリア人が一番かっこいいと思うようになり、自然にオリジンブランドに目が行くようになりました。そうして、生産国を追って、アメリカ製のリーバイスやフレンチラコステの古着を手にするようになりました」

――いわゆるレプリカデニムに端を発する、ヴィンテージブームとは違うのですね?

「自分にとっての古着の魅力は、希少性のあるヴィンテージかどうかということではなく、その服が生まれた目的と経緯が感じられるかどうか。だから、バブアーがオイルを塗り込んで防水性を高めた漁師のための服ということを知り、さらに好きになりました。どんな服にも着る目的があり、生まれた国と地域の特性があり、食を含めたカルチャーがあるんですよね。男性特有の目線なのかも知れませんが、そんなことを考えながら服選びをするのが楽しくなってきたんです。30代後半から40代は、好きなモノに凝り固まっていったので、流行に左右されなくなりました。だから、10年前の写真を見ても、着ているものは今とほとんど変わりません。イギリスにもイタリアにも、散々かぶれてきたのでもういいだろうと(笑)」

欧米各国の良さを取り入れる日本人のミクスチャー感覚

――たしかにバブアーといえば、ハンティングやフライフィッシングといった英国らしいアウトドアスポーツを連想しますし、お酒ならスコッチですよね。

「バブアーが生活に密着しているイギリスは、まだ行ったことがありませんが、すごく興味がありますね。ハギスとスコッチを東京に置き換えたら、味の濃い煮込みとキンミヤ焼酎なのかも知れない。パブで交わされるおじさんたちの会話は、浅草や立石の呑み屋にいるおじさんたちと、そう変わらないんじゃないのかなと。なぜ、そんな風に思うのかと言うと、イタリア出張のときに、広場に集まってチェスに興じるおじいさんたちがたくさんいたのを目にしたから。ハンチングを被ってバブアーを着て、寒空の下でもチェスをしている姿がすごくカッコよく見えたんです。この光景は、日本の公園で将棋を打っているおじいさんたちと重なって見えるし、彼らのなんでもないキャップやベストの着こなしにも、カッコいいと思えてきたのです」

――なるほど、我々がイタリア人やイギリス人をそのまま真似るよりも、いったん日本に置き換え、リアルな日常に根ざしたスタイルの方がかっこいいということですね。

「あらためて僕らのアイデンティティがどこにあるのかと考えたとき、イギリス、イタリア、アメリカの良いところをフラットに受け入れ、ミックスして独自のものにしまう感覚こそが日本人らしさだと気付きました。アルデンテのパスタもいいけれど、ソフト麺も美味しいじゃないですか? そういう日本人特有の感覚が、あらためて世界から評価されていると思うんです。だから今回のスタイリングも、全身イギリスとか全身イタリアにせず、今まで自分がかぶれてきたいろんな国の要素を取り入れています」

足元に差し色をきかせたミックススタイル

「伝統的なイギリスの服を着る時は、全身イギリス物で揃えないように意識しています。ジョンスメドレーのニットが似合うのはわかっていますが、あえてポケTの上にラフに重ねるのが自分流。チェックのパンツはスリーラバーズという浅草にあるショップのオリジナルで、スコットランド軍のセレモニーパンツのような雰囲気がありながら太いシルエットで、股の部分は余裕を持たせてあって、素材はポリエステルというのが面白いんです。スニーカーもスリーラバーズで、モディファイドラスト(木型)を使っているそうです。さらにこのオレンジは、某メゾンのブランドカラーを感じさせます。定番で固めてしまうと退屈になってしまいますので、ヴィンテージを今の視点で再解釈したアイテムを組み合わせることで新鮮に見えるかなと」

トラッドながらも上下のバランスが今っぽい

「バブアーと言えば裏地のチェックの印象があって、インナーに選んだのはドレスゴードンというタータンチェックのBDシャツ。ボタンは上まできっちり留めて着ています。パンツは黒染めしたフランス軍のM52パンツです。これしか穿かないっていうくらい、自分の中でのユニフォームと化しています。足元のスニーカーは、スペルガというイタリア軍に納入していたイタリアのブランド。アッパーをモールスキン素材にして、タフに仕上げたアーティファクトという新しいラインです。フランスのモールスキンジャケットは、黒は農夫、青は工員と職業によって選ぶ色が違うというストーリーも男心をくすぐりますよね。イタリア、フランス、アメリカの要素が入っていますが、バブアーの完成されたデザインなら違和感なく合わせられるのです」

コロナ時代におけるバブアーのこれからについて

――今季のバブアーでは新たなプレミアムラインの立ち上げや、シュプリームやノアといったコラボなど、攻めの姿勢が目立ちます。コロナ禍がしばらく続くでしょうが、今後バブアーはどのような立ち位置にあると予想しますか?

「老舗ブランドには進化することが必要なんです。元となるスタイルがしっかり継承されてさえいれば、どんどん新しいことに挑戦していくべきです。たとえ生産国が変わったとしても、ブランドとしての本質が変わらなければ、僕は少しも気になりません。薄くて軽くて着心地の良い服ばかりが求められている現代において、バブアーのワックスドアウターって、手間のかかる服だと思うのです。でも、20代にもしっかりと受け入れられている。コロナ禍で痛感していることは、結局、本物しか残らないということです。六本木とかの飲食店は大変でしょうが、常連さんがしっかり付いている街中華は潰れないし、地元の人に愛されている銭湯は潰れない。バブアーが愛され続けているのはそれと同じだと思うのです。僕は一度好きになったものはずっと好きなので、これからもバブアーを着続けるでしょう」

片野英児 EIJI KATANO
1968年、東京都生まれ。広告代理店勤務を経て、フリーランスのコラムニスト、プロデューサー、コメンテイターとして活動。現在はYoutubeチャンネル「アニチューブ」で動画コンテンツを配信しながら、さまざまな別注企画も手掛けている。バブアー好きとしても知られ、バブアニと呼ばれることも。ソルウェイジッパー、ビデイル、スペイを所有。

アニチューブ アニキ 片野英児

Photo : Fumihito ishii Text & Edit : Takuro Kawase

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