秋冬用のスーツやジャケットの定番素材として知られるキャバリーツイル(キャバルリーツイルとも呼ばれます)。仕立て映えするハリ感のある特性を活かし、バブアーらしいモダンなトラッドスタイルに落とし込んだアイテムが登場。週末カジュアルはもちろん、ビジネスシーンでも使いやすい上品な仕上がりにご注目下さい。
くっきりとした斜めの畝が凛とした表情を生み出すキャバリーツイルは、その名の通り、もとは騎兵隊の乗馬パンツ用に作られた布地です。高密度でしっかりと織られているので耐久性や弾力性に優れ、適度なハリもあるので、アイテムに仕立てるとかっちりとしたシルエットを描きます。加えて、かすかな光沢と、角度によっては玉虫色に見える表面感が、エレガントなムードを添えるのも魅力のひとつ。
今シーズン、メンズ、レディスともに初お目見えしたキャバリーツイルのアイテムは、クリーンで洗練された印象に。ウィズコロナで生活様式が激変し、オンとオフの境界線が曖昧となった昨今だからこそ、騎兵隊や軍服などのユニフォームとして用いられたキャバリーツイルの質実剛健な美しさ、トラッドベースでありながらも「今」を感じさせるシルエットが、新しい日常をスタイリッシュに格上げしてくれるはずです。
キャバリーツイルの魅力を存分に堪能したいなら、セットアップの着こなしがおすすめです。ジャケットは裏地なし、3つボタンのボックスシルエット。パッチポケットやノーベントといったワークウェア風のディテールも、キャバリーツイルを用いることで都会的な表情に仕上がっています。パンツはツータックのインプリーツで、太めのテーパードシルエットが今季的。ワタリ、股上ともにゆったりとしてるので、穿き心地も良く、体型を選ばない一本となっています。クリーンな素材感を強調するなら、スタイリングはシンプルが鉄則。トーンを抑えたカラーコーディネートなら、ぐっとこなれた印象に。
乗馬用のコートとして開発され、バブアーのアイコンとして特に女性に人気の高い“バーレー”を、キャバリーツイルで仕立てたアイテムが今シーズン初登場。フロントのフラップポケットやセンターベント、ラグランスリーブといったおなじみのディテールはそのままに、着丈と身幅を調整し、タウンユースにブラッシュアップしています。“バーレー”のタフなイメージにキャバリーツイルのキレイめな印象が加わって、キャッチー&シックなアイテムに仕上がっているのも必見。カジュアルに着こなすのはもちろん、太めのパンツや柔らかな質感のスカートと合わせたレディライクなスタイリングにもハマりそうです。
1940年代のUSネイビーラバーコートからインスピレーションを得たバルカラーコートも、キャバリーツイルなら鮮度の高い大人のコートスタイルに。裾に向かって広がる緩やかなAラインが美しいシルエットを描き、着丈はインに合わせる服を選ばない絶妙な膝下丈。少しだけドロップショルダー気味というのも今の気分。ミリタリーコートの普遍的なディテールに上品な光沢がマッチしたルックスは、ビジネススーツの上に羽織っても相性抜群です。また、オフのジャケット&ジーンズスタイルには、ほどよいきちんと感が加わります。本格的な冬の到来の前に、一着あると何かと重宝しそうな万能アウターです。
Photo : Tomoaki Shimoyama Styling : Kazuyuki Tamura Hair & Make-up : Masa Kameda (men) Naoyuki Ohgimoto (women) Text : Satoko Hatakeyama Edit : Takuro Kawase